ゼロから始める基礎解剖学 各論編 第1回 下肢の解剖学

解剖学

整体師を目指す人のために、最低限覚えておきたい解剖学の知識を解説する「ゼロから始める基礎解剖学」、各論編の1回目は「下肢の解剖学」を取り上げます。

下肢はその筒状の形状と筋肉の厚みが、初心者の押圧練習に適しており、かつ比較的事故を起こす可能性が低い部分です。

そのため、セラピストを目指す初心者の最初の練習部位としてよく用いられます。
こうした理由もあり、まずはこの部分を取り上げてみました。

下肢の定義

下肢とはどこの部分を指すのか。

素人に説明するのであれば、「骨盤から下の脚の部分だよ」と言った感じでしょうか。
最初の段階ではそんな理解でも結構です。

一応説明しておくと、解剖学的には下肢と体幹の境目は次のようになっています。

  • 鼠径溝-上前腸骨棘-尾骨-殿裂-陰部大腿溝を結ぶ線

下肢の解剖学

ここからは、下肢の構造について、具体的に解説していきます。

下肢の骨

まずは下肢の骨について取り上げます。

下肢の骨の構造

下肢の骨の構造

下肢の骨の構造は上の図のようになっています。

ふとももの部分に大腿骨があります。大腿骨の上部は股関節、下部は膝関節を構成する骨の一部となります。

「すね」の部分には脛骨という太い骨があり、その外側に腓骨という細い骨があります。
脛骨の上部は、大腿骨と膝蓋骨(膝の皿)と共に膝関節を構成しています。下部は足関節を構成する骨の一部となっています。

脛骨・腓骨の下には、「足」を構成する骨たちがありますが、足部については別の機会に取り上げたいと思います。

ここまで説明した骨の名前と構造は、しっかり理解しておいてください。

下肢の骨で大事な部分

この部分は服の上からでも、触って探し出せなければならない。

クライアントの身体に触れて施術や検査を行うセラピストにとっては、こうした部分が人体にたくさんあります。
そのような部分は、主に正確な検査・判断、的確な手技のために必要な大事な部分となります。

下肢にもこのように「触知」できなければならない部分がいくつかあります。
その中でも必須の部分は以下のとおりです。

上前腸骨棘
骨盤前面上部の出っ張り部分。骨盤前面の歪みを見る際によく用いられます

上後腸骨棘
骨盤後面上部の出っ張り部分。上前腸骨棘同様、骨盤の歪みを見る場合などの指標となります。

腸骨稜
腸骨上部のアーチ状のカーブを描く部分。骨盤のチェックや腰椎の4番と5番の間を探す際の指標となります。

大転子
大腿骨上方外部にある大きな骨の隆起。筆者の場合は、股関節の位置・状態をチェックする場合などに触れます。

脛骨粗面
脛骨正面上部で膝蓋骨の下方。成長痛の一種であるオスグッド・シュラッター病ではこの部分に痛みや炎症がよく起きます。

内果・外果
いわゆる「内くるぶし」の部分が内果、「外くるぶし」の部分が外果となります。
内果は脛骨の一部、外果は腓骨の一部である点も覚えておきましょう。

踵骨
かかとの部分の骨。筆者の場合は足の内反・外反を調整する際にここを調整します。

以上に挙げた部分は臨床上とても大切です。正しく触知できるように練習しましょう。

下肢前面の筋

ここからは下肢前面の筋肉をみていきます。

大腿前面の筋

大腿前面の筋肉

大腿前面の筋肉で重要なのは、大腿四頭筋です。

大腿直筋・外側広筋・内側広筋・中間広筋を合わせて、大腿四頭筋とよびます。
クライアントによっては緊張状態にあることも多く、臨床上でも大切な筋肉です。

4つの筋肉のうち、大腿直筋のみが腸骨から起始しており、他の筋は大腿骨から起始している点も覚えておくとよいでしょう。

 起始停止支配神経作用
大腿直筋下前腸骨棘4筋は合して膝蓋骨につき、膝蓋靭帯を経て脛骨粗面に終わる大腿神経下腿の伸展
(大腿直筋は大腿屈曲と下腿伸展)
外側広筋大腿骨粗線外側唇
中間広筋大腿骨体前面
内側広筋大腿骨粗線内側唇
起始・停止:筋肉の両端がどこに付着しているかをさします。両端のうち動きの少ない方を起始と呼び、動き大きい方を停止と呼びます。
支配神経:その筋肉を司る神経の名称
作用:その筋肉のはたらき

内転筋群

内転筋群

おおまかに言うと、大腿の内側の筋をまとめて内転筋群と呼びます。

内転筋群については、はじめから全ての筋名を覚える必要はありませんが、だいたいどの部分にあるかについては理解の上、触知できるようにしておいて下さい。

余談ですが、慢性腰痛の方はこの部分が硬くなっていることがよくあります。

 起始停止支配神経作用
恥骨筋恥骨櫛大腿骨恥骨筋腺大腿神経股関節の内転・屈曲
長内転筋恥骨体大腿骨粗線内側唇閉鎖神経大腿の内転
短内転筋恥骨下枝
大内転筋坐骨結節・坐骨枝、恥骨下枝
薄筋恥骨下枝脛骨粗面の内側股関節屈曲、膝関節での下腿屈曲・内旋

下腿前面の筋

下腿前面の筋

下腿前面の筋で、臨床上重要なのは、前脛骨筋です。
かたくなっていることも多い筋肉なので、触知できるようにしておいて下さい。

 起始停止支配神経作用
前脛骨筋脛骨外側面・下腿骨間膜内側楔状骨、第1中足骨底深腓骨神経足の背屈・内反
長趾伸筋腓骨内側面・脛骨外側顆・下腿骨間膜第2〜5指の指背腱膜(趾背腱膜)に移行し、中節骨と末節骨に終わる第2〜5指の伸展、足の背屈
第三腓骨筋腓骨内側面・下腿骨間膜第5中足骨底(背面)足の背屈・外反
長腓骨筋腓骨頭・腓骨上部外側面内側楔状骨、第1中足骨底浅腓骨神経足の底屈・外反
短腓骨筋腓骨下部外側面第5中足骨粗面

下肢後面の筋

ここからは下肢後面の筋肉をみていきます。

大腿後面の筋

大腿後面の筋肉

大腿後面で重要な筋肉には、いわゆるハムストリングスを構成する筋群があります。

ハムストリングスとは、大腿後面を構成する筋の総称であり、大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋から構成されます。

いずれも臨床上大事な筋肉であり、施術することも多い部分です。

大腿外側にある腸脛靭帯は、上前腸骨棘から始まる大腿筋膜張筋が脛骨外側顆に付着する過程で靭帯に移行したものです。
かたくなっていることの多い部分なので、こちらも忘れずにチェック・施術したい部分です。

 起始停止支配神経作用
(大腿二頭筋)
長頭
坐骨結節腓骨頭坐骨神経(脛骨神経)股関節の伸展、
膝関節の屈曲・外旋
(大腿二頭筋)
短頭
大腿骨粗線外側唇坐骨神経(総腓骨神経)膝関節の屈曲・外旋
半腱様筋坐骨結節脛骨粗面の内側坐骨神経(脛骨神経)股関節の伸展、膝関節の屈曲・内旋
半膜様筋坐骨結節脛骨内側顆の後部

下腿後面の筋

下腿後面の筋肉

下腿後面の筋肉で重要なのは、いわゆるふくらはぎの腓腹筋・ヒラメ筋となります。
これらの筋肉は停止部で合わさってアキレス腱(踵骨腱)となります。

いずれも臨床上大切な筋肉で、施術することも多い部分となります。

 起始停止支配神経作用
腓腹筋内側頭内側上顆両頭は合して踵骨腱をつくり踵骨隆起に終わる脛骨神経膝関節の屈曲、足関節の底屈
腓腹筋外側頭外側上顆
ヒラメ筋腓骨頭・ヒラメ筋線足関節の底屈

まとめ

今回は下肢の構造をみてきました。

最初にも述べたように、下肢はセラピストを目指すひとが最初に練習することが多い部分です。
余裕があるようであれば、今自分がどの筋肉を触れているか頭の中でイメージしながら練習してみることをおすすめします。

次回は各論編の2回め「上肢の解剖学」について取り上げます。

ゼロから始める基礎解剖学 各論編第2回 上肢の解剖学
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