事業を継続していくためには、収益を出していくことが必須となります。
整体サロンを経営する場合でも、もちろんこれは同じです。
収益を出すためには、大きく分けて次の2つの要素が重要になってきます。
一つ目は、売り上げをどう伸ばしていくか。
もう一つは、コストをいかに抑えていくか。
今回紹介するのは、施術のテクニックではありません。
しかしながら一度身につけると、一生涯、コスト削減が可能になります。
そんな有能スキルを紹介したいと思います。
有能スキル=〇〇3級
そのスキルとは何なのか。まずは種明かししましょう。
今回紹介する有能スキルとは、ずばり簿記3級のスキルです。
個人事業主になって1店舗のお店を経営したい。
あなたがこう考えているならば、開業前に簿記3級の知識を習得することをおすすめします。
その上で、開業後は自分で経理を行っていくことが理想です。
あなたがセラピストとして開業して、仮に40年間この仕事を続けるとするとします。
ちょっと時間を割いてこのスキルを身につけるだけで、およそ1,000万円近くのコストが削減可能になります。
どういうことなのか、これから述べていきたいと思います。
専門家に依頼すると…
事業を行うにあたっては、経理処理が必須となります。
個人事業の場合も同様で、日々の収支を仕分・記帳し、年度末には申告書を作成して税務署に提出しなければなりません。
この一連の作業を自分でやらない場合は、税理士などの専門家に依頼する必要が生じます。
今回は、このためにかかるコストについて調べてみました。
どこにどの程度の作業を依頼するかによって当然料金は異なりますが、いわゆる「丸投げ」の記帳代行で月1万5千円程度、これに申告書作成で別途5~10万円程度が相場のようです。
そうすると年間およそ23万~28万円ほどかかることになります。
仮に40年間、経理処理を外部に依頼した場合は、およそ1,000万円前後のコストがかかることになります。
一般的に言われているメリットとデメリット
世の中には経理処理を専門家に依頼する人と、自分で経理処理をする人がいます。
それは双方にメリット・デメリットがあり、各々がそれを比較して判断しているからです。
ここからは一般的に言われている、経理処理を依頼するメリット、自分でやるメリット・デメリットについてみていきます。
専門家に依頼するメリット
大部分の税理士の方が挙げているメリットは次の3つです。
- 本業に集中できる
- 必要に応じて経営上のアドバイスを受けられる
- 処理を間違えることがなく、節税の機会を逃さない
(依頼するデメリットについては、自分で経理処理するメリットと表裏一体なので割愛します。)
自分で経理処理するメリット
多くの方がネット上で挙げているメリットは、大きく分けて次の3つです。
- 固定費の削減
- 経営感覚の育成に役立つ
- リアルタイムで状況が把握できる
自分で経理処理をするデメリット
自分で経理処理をやるデメリットについては、以下のようなことが挙げられています。
- 時間がかかり、めんどくさい
- 経営上のアドバイスが受けられない
- 間違いに気づきにくい
メリット・デメリットの考察
ここからは、一般的に言われている双方のメリット・デメリットのいくつかに対して、筆者の経験上の話をしたいと思います。
時間はそんなにかからない
まず経理処理にかかる時間ですが、簿記3級程度の知識を習得してしまえば、はっきり言ってそれほど時間はかかりません。
僕自身の場合ですが、クラウド会計ソフトを利用して、月に1回わずか1時間程度で単月の会計処理を完了させています。
確定申告については、申告書作成から各帳簿の印刷・保存まで、年1回およそ4~5時間程度の所要時間で処理を完了しています。
仮に税理士などに記帳代行を依頼したとしても、レシートや伝票をまとめたり、銀行の取引明細のコピーをとって先方に送付するといった作業時間が毎月、発生します。
これだって同じくらい時間がかかるのではないかと、個人的には考えています。
このように、個人事業主で1店舗のお店を経営する場合であれば、
- 時間がかかるという、個人で経理処理するデメリットは、思ったほどではない。
- よって本業に集中できるという専門家に依頼するメリットも、それほど大きなものではない。
というのが僕個人の意見です。
(参考)クラウド会計ソフトがおすすめ
自分で経理処理をする際に利用できるツールとして、クラウド会計ソフトがあります。
有名なものとして
などがあります。余談ですが筆者はfreeeを使っています。
(それぞれの詳細については、下記リンクから公式サイトをご覧ください。)
こうしたクラウド会計ソフトは、銀行のネットバンキングサービス、カード会社などとのデータ連携が可能です。また仕訳の学習機能も備わっています。
両者を活用することで、銀行口座の入出金やカード利用明細の会計処理は、かなりの部分で自動処理が可能となります。
またAirレジなどのサービスと連携すると、日々の売上入力も自動化できます。
こうなると、自分で毎月行う会計処理は、ほぼ現金で支払った経費の入力のみとなり、ほとんど時間がかからなくなります。
抜群のコスト削減効果
専門家に経理処理を依頼すると、最初の方で述べたように、年間およそ23万~28万円ほどかかります。
クラウド会計ソフトを利用して自分で経理処理した場合は、年間1~2万円程度の費用となり、コストを10分の1程度に抑えることが可能になります。
年25万円前後の節約となり、40年間で1,000万円程度のコスト削減効果は、やはり大きなメリットといえるのではないでしょうか。
経営感覚の育成に役立つ
京セラや第二電電(現KDDI)を創業し、JALの再建などにも携わった実業家である稲盛和夫氏は、著書「稲盛和夫の実学ー経営と会計」においてこう述べています。
『会計がわからなければ真の経営者になれない』
セラピストといえども、開業すると経営者となるわけです。
稲盛氏の言葉からもわかるように、会計の知識は身につけておいて得はあっても、決して損するスキルではないといえるでしょう。
経営上のアドバイスをもらうために…
会計処理を専門家へ依頼すると経営上のアドバイスを受けることができるというメリットはどうでしょうか。
実は経営上のアドバイスすなわちコンサルティングは、会計処理を依頼している人全てが無条件で受けられる訳ではありません。
継続的なコンサルティングを受ける場合には、顧問契約が必要なケースがほとんどです。
前半の方で述べた月別コスト1万5千円は、あくまで経理処理を丸投げしたさいのコスト。
継続的にコンサルティングを受ける場合には、上記とは別に月額1~数万円が追加経費として必要となります。
メリットと比較して、継続的にこのようなコストを負担していくべきかどうかは、吟味が必要かと思います。
専門家に依頼したほうが良いケースは?
一方で、次のような場合は制度・手続きが煩雑となり、間違いも起きやすく、一個人では負担が大きいと予想されます。
- 人を複数雇用しており、給与計算・社会保険の計算・手続きが必要なケース
- 多店舗経営をしている場合
- 不動産など複数収入、複数事業を営む場合
このような場合は、コストをかけてでも専門家へ依頼するメリットが大きいと言えるでしょう。
ただし、このようなケースでは、一人で1店舗の経営をする場合よりもより高度な経営判断が求められる場面が多々あります。
その意味ではこういった内容の経営をする者こそ、簿記の知識を習得することが大切ともいえます。
まとめ
ここまで見てきたように、自分で経理処理をすることは、慣れてしまえばそれほど時間がかかることではありません。
むしろ、費用対効果、時間対効果が大きい方法と言えます。
あなたが将来、個人事業主として1店舗の経営を考えているならば、クラウド会計ソフトを利用して自分で経理処理を行うことを、強くおすすめします。
そして自分で経理処理を行うための基礎スキルとして、簿記3級の知識を早めに習得することをおすすめします。
次回更新の記事では、簿記3級についてさらに詳しく解説する予定です。
簿記3級をどう学んでいけばよいかについても、詳しくその方法を紹介していきます。
ぜひこちらもご覧ください。