前回の記事では、開業セラピストが自分で経理処理を行うメリットについて紹介するとともに、開業前に簿記3級を学ぶことをおすすめしました。
前回記事はこちら↓

今回は簿記3級について、その内容や具体的学習方法を紹介していきたいと思います。
簿記ってなに?
まず最初に、「簿記」とは何かについて簡単に説明します。
簿記とは、お金やモノの出入りを記録するための方法です。
日々の取引を帳簿に記入し、経営状態・財政状態を把握する手段として利用します。
例えば、クライアントから施術料金をもらった場合は、「売上高」が発生し、料金として「現金」が手元に入ってきます。
こういった取引を日々記録する方法が簿記となります。
そしてこういった取引を日々集計していき、
- 損益計算書で売上と経費、利益の状態を把握する
- 貸借対照表でお店の資産状況を把握する
- 双方の分析を行い、次の経営戦略を立てる
- 確定申告書を作成する。
といったように活用していきます。
簿記3級とは
一般的に簿記3級とは、日本商工会議所が主催する「日商簿記検定試験3級」のことを指します。
検定内容としては、
- 基本的な商業簿記が中心
- 小規模企業における経理関連書類が適切に処理できるようになるレベル
となっています。
業種・職種にかかわらずビジネスパーソンが身に付けておくべき「必須の基本知識」として、多くの企業から評価される資格とされています。
また、基本的な経理の業務に直結する内容も多いため、中小企業や個人商店の経理事務を担当する場合にすぐに役立つ資格でもあります。
簿記検定3級の詳細についてはこちらをご覧ください。
どこまで学ぶべきか
セラピストが簿記3級を学ぶ場合、いったいどこまで学んだらよいかについて、ここではお話します。
上で述べたように、簿記3級は基本的な商業簿記が中心であり、学習範囲は広範囲にわたります。
開業志望のセラピストの場合でも、学習範囲については、やはりひととおり学んでおくことをおすすめします。
学んでいく中で、実際にはほぼ使わないだろうなというもの(例えば手形や為替、当座貸越など)に遭遇することもあります。
ただそれは学習範囲の1割にも満たないので、とりあえず全範囲を学習するのが良いでしょう。
一方で覚えるべき「深さ」については、それぞれの方のニーズにより異なります。
とりあえず、将来的に自分で会計処理ができれば良い。
という方であれば、とりあえずおおまかな理解ですませ、実際に必要になった場面でテキスト等を参照すればよいと思います。
せっかく学ぶのだから、資格取得まで目指してみよう。
こういう考えももちろん悪くありません。
(日商簿記3級の場合は、70%以上の正答率で合格できます。)
この場合は当然ですが、ある程度しっかり学び、問題演習などを繰り返す必要性があります。
具体的な学習方法について
ここからは、簿記3級の内容の具体的な学習方法について紹介していきたいと思います。
おすすめの学習手段・方法
当ブログでは、セラピストもしくはセラピスト志望の方を対象にした記事を書いています。
・セラピストが経理処理の基本を身につけて、開業した際に一人で会計処理ができるようになること
これを当ブログでの簿記学習の最終目標地点としています。
この点を踏まえつつ、彼らが効率よく目標地点に達成するための学習手段やその方法について紹介します。
基本書+動画学習+辞書的な本
当ブログが推奨する具体的な学習手段はつぎの3つです。
- 簿記全般の基本が解説されている参考書:1冊
- 簿記3級に関する解説動画
- 実際に経理処理をする際に使う辞書的な本:1冊
となります。これら3冊を使って、学習・実務を行っていくことをおすすめします。
それぞれ、当ブログがおすすめするものを、以下にピックアップします。
スッキリわかる 日商簿記3級
本書は簿記3級のテキストの定番といえる参考書であり、10年以上にわたって簿記3級のテキストの売上1位となっています。
簿記学習に必要な項目が初学者にちょうどよいレベルで載っています。
簿記学習を始めるにあたっての基本書として、おすすめできる本です。
【簿記系YouTuber?】ふくしままさゆき氏の動画
簿記3級に関する解説動画でおすすめなのは、簿記系Youtuber ふくしままさゆき氏の「簿記3級独学応援っ!」講座です。
無料で視聴できる動画ですが、動画教材はこれで十分というほど充実した内容となっています。
簿記3級は全24回の動画にまとめられています。
→【簿記系YouTuber?】ふくしままさゆき氏のYoutubeチャンネルはこちら
図解即戦力 勘定科目と仕訳がこれ1冊でしっかりわかる本
クラウド会計ソフトなどを使って、実際に経理処理を自分でやってみるとわかることですが、日常的な経理処理のほとんどは「仕訳」となります。
最初のうちは、イレギュラーな支出などがあった場合に、勘定科目を何にするかなど悩む場面も生じます。
このような時ネット検索を活用することで疑問を解決することも、現在では可能ですが、本書のような辞書のように使える本を1冊、手元に置いておくことが便利です。
具体的な学習法
これまで挙げてきた3つの手段を活用して、まずは
- 基本書で予習復習をおこない
- 動画で理解を深める
ことを推奨します。
その上で、簿記3級の資格取得を目指したい場合は、問題演習+該当箇所の復習を反復。
そこまで必要ないという方は、実際に自分で経理処理を始めて、わからないことがあった際にはその都度基本書の該当箇所を参照する。または仕訳の本で確認する。
という方法をとると良いでしょう。
さいごに
前回の記事でも述べたように、簿記3級で学習する経理の基礎知識は、経営者として必要なスキルのひとつであり、身につけることで生涯コスト削減が可能となるスキルでもあります。
これから開業しようと思っているセラピストの方は、ぜひ早いうちにこの知識を習得されることを改めておすすめします。